FAQ

お客様とのコミュニケーション、それが私の無上の喜びです。

過去40年間以上ワイン造りに携わってきた中で、わざわざワイナリーをご訪問してくださるお客様には、出来る限り時間をお作りし、お話をさせて頂くことを私のモットーとしています。これまでお話させて頂いた方は、おそらく数万人にのぼることでしょう。

もちろん、今後もOcciGabi Wineryをご訪問頂ければ、直接お話しさせて頂きますし、それが私の無上の喜びでもあります。ただ、やはり余市に来る機会をなかなか持てないお客様も多数いらっしゃるのは事実だと思います。

そこで、過去、頻繁に受けたお客様からのご質問をピックアップし、本Web上で回答していこうと思います。

今後も、ワイン造りやワイナリー経営に関するご質問があれば、下記メール・アドレスまで、どしどしお寄せください。適宜、本ページで回答を掲載していきます。

occigabi@ae.auone-net.jp

希一郎さんは、国産ワインの80%以上は偽物だと言っていますが、// どういうことですか?
 一体どうして我が国のワイン作りは先の見えない迷い路に入り込んでしまったのだろう? 外国からワインそのものを輸入し自社のビンに詰めて売る。外国で濃縮したワインぶどう果汁を輸入し、国内で水で戻して発酵させて作ったものをビンに詰めて売る。以上、どちらも「国産・自社ワイン」。日本で本当にワイン用ぶどうからワインを作ることは、とても難しい。何故といって、ワイン用ぶどうの絶対量が殆んどゼロだから。全国民の愛飲量の約1%分の量しかワイン用ぶどうはないのだ。
 50年前に北海道の或る町の町長さんが、上記外国産ワインの方式を導入し、大成功。それを見て、国内の大手メーカーや地方の中小ワイナリーまでその手法を真似してしまった。極言すれば国産ワイン=安い外国もの、というのが我が国の実情なんだよ。
 何てことだ。こんなことをしていて、ワイン文化なぞ出来ようハズもない。海外のワイナリーを見て歩いている人ならすぐ分るだろうが、日本のワイナリーを訪問するとその多くで、栽培しているぶどうと販売しているワインの品種・生産量が共に一致しないか、そもそも畑を見せてもらえない等、違和感を覚えるのはそのためなんだよ。
輸入ワインを瓶詰めして// 「国産・自社ワイン」と言えるの?
 少し前までは、出来上がったワインを200ℓの容器に詰めて、船で日本に運び込むという手法が主流だったね。用心して熱(パスツール)殺菌してから輸送するんだが、日本でビン詰めする時にも、再度熱殺菌。二度もパスツール殺菌するんだから、風味が飛ばない訳がない。泉下のルイ・パスツールもきっと驚いているな。輸入相手国は、かつてはブルガリアやスペイン。その後ワインの調達先は南米のアルゼンチンやチリに移った。その理由は簡単で、安いから。
 200ℓのワンウェイ使い捨て容器その物の名をとってこれらを「バルクワイン」と言うんだ。日本のお酒の法律が「ビン詰め作業こそが製造」という精神に即していたから、原材料がどこであれ、日本国内でビン詰めされれば「国産ワイン」で、どこかの会社でビン詰めされれば、「自社ワイン」と言った次第さ。
濃縮果汁でワインを作るって、// どういうことですか?
  20~30年前からは、ワインではなく濃縮果汁をバルクに入れて運び始めたんだ。理由は(1)4~5倍濃縮果汁にすれば、運賃が1/4~1/5に減らせる、(2)濃縮果汁はその濃縮度ゆえ運送中に腐敗したり、発酵したりする心配がない、(3)濃縮果汁を水で希釈する際に、砂糖と香料を加えて味を一定にした上で発酵させることで、毎度同じ味になる、と言ったことが挙げられる。
 ワインを大量流通品として捉えると、結果こんな出鱈目な発想が出て来るのだな。
なぜ、西洋系ワイン専用品種に// こだわるんですか?
 ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)といって、そのラテン語の学名通りに訳すと「ワインづくりのためのぶどう」と、まさにワインを作るためだけに存在するヨーロッパ原産のぶどうのグループのことで、これには、甲州ぶどうも、マスカット・ベイリーAも、セイベル系フレンチ・ハイブリットもヤマ・ソーヴィニョンもアルモ・ノワールも入らんよ。作ってみれば分かる。きちんとした風味のワインを作るには純粋ヴィニフェラもしくはヴィニフェラ×ヴィニフェラの交配品種しか使いものにならないんだ。
 飲んでご覧なさい、甲州やマスカット・ベイリーAなどの、元来は食べるブドウから作られたワインは、味がとても薄いか、フォクシー(狐)臭と言われるキャンディーみたいな匂いがして、とてもワインとは呼べないね。
 これまでは「甲州ワイン」にシャルドネを一定量混入出来たからまだ飲めたが、今後「新ワイン法」ゆえ甲州ブドウ100%で作ったらどうなるんだろう?
 よくテレビの映像で甲州ぶどうをイジメにイジメて濃い味わいにしているという談話が出てくるのだが、私の当然の疑問として、「どうして、じゃあ、シャルドネそのものを栽培しないのだろう」、となるんだ。
 ぶどうを作る気もない人々がワインを作っている、このおかしな日本独特の風潮が生んでいるのだろうが、うまいワインを作るなら気候などのせいにせず、地道に西洋系ワイン専用品種を栽培するしかないんだ。
「新ワイン法」って//|| 何ですか?
 「国産ワイン」の定義が変わるのさ。これまでは、日本国内でビン詰めされればそれでよしの世界。今回の表示法でこの手垢にまみれた「国産ワイン」という呼称そのものが消えた。これからは「日本ワイン」、国産ぶどう100%で作られたワインの表示でいきましょうとなった(現在は移行期間で完全施行は2018年10月)。一応、食べるぶどうでも何でもよいから国内産のぶどうから作られたものだけが「日本ワイン」と名乗れるんだ。今までのように海外の輸入果汁とか輸入ワインとかを使うと、「日本ワイン」と記載できないだけでなく、「輸入濃縮果汁使用」とか「輸入ワイン使用」とか記さないといけない。
 さらに、産地や品種に関する表示ルールも変わる。産地を名乗るには、その産地でとれたぶどうが85%以上でないといけない。品種も同様。例えば、余市ワイン・ピノノワールと名乗ったら、余市でとれたピノノワールを余市で醸造しないと法律違反という訳さ。
 今は移行期間だからまだ義務ではないが、きちんとしたワイナリーはすでにワイン・ラベルも対応しているから、酒屋にいってみてごらん。もちろん、まだ完全施行されていないから対応していないワイナリーもあるけど、やらない(やれない?)理由は推して知るべしだな。時間の問題だよ。国内市場での日本ワインの顔振れは全く変わることになるんだ。
最近は、甲州等の生食用ブドウで作った日本ワインも// 国際的評価が高いと聞きます。
 世界中にワイナリーが50~60万軒あるとして、1軒が平均4~5種類のワインを毎年リリースするとしたら、理論的に言って、今現在味わうことの出来るワインは直近の数年分プラス古酒でゆうに1000万種類はあるだろう?そんなワインに順番を付ける行為がどれ程愚かか。誰が評価するのか。何の為に評価するのか。オリンピックのように数値比較出来る訳じゃないし、球技のように直接対決する訳でもない。と考えて、少しでも誇りある醸造家はまず出品しないし、ロンドンやブリュッセルのコンクールは金儲けのショーというのが常識だね。
 私の考えでは、山梨県で散々言っている「甲州」もワイン用ぶどうではない。マスカット・ベイリーAや北海道の東部で言っている山ぶどうとの交配種も違う。世界の潮流としてヨーロッパ原産のヴィニフェラ種だけでワイン作りをしているから、ということもあるが、理由はもっと違うところにあるんだ。食べるぶどうを使用することは、他者依存のぶどう作り(いわゆる契約栽培)やクズぶどうを使っての大量生産が根底にあるからさ。
 ワインには、テローワルと言われる「土着性」、更には、同じ畑の同じぶどうから作っても、ほんの少しの気候の差異ゆえに大いに味わいの異なるワインが出来ることで、ビンテージと言われる「個別性」も存在する。結果として、同じワインは少量しか作り得ず「希少性」が生まれるんだ。
 他方、元来食べるように作った品種をブドウ栽培農家が生食用ではなくワイン用に提供する。もちろん、ワイン用に卸すほうが販売単価は格段に安いよ。そんな原材料で作ったワインがどうしてうまいんだろうか?
美味しいワインを作るのは// 秘訣があるのですか?
 「良いワイン作りは、良いぶどう作りから」、「ワインは9割方ぶどう作りで決まる」というのが定説だね。
 優れた造り手は「私は収穫したぶどうを丁寧にワインにするだけです」と言うんだ。謙遜ではなく。事実をそのまま述べているだけだと思う。加えて、近頃、醸造機器は格段の進歩を遂げた。良いぶどうから美味しくないワインを作り上げることの方が至難のワザだよ。
それでも、誠心誠意ぶどうと対峙すれば、矢張り、「ぶどうの味を決めるのは天候だなぁ」となる。要は人知の及ばざるところに行き着く、という次第。肩に力を入れず、従容として天命に付き従う。それがワイン作りかもしれん。
 ワインは良き原料ぶどうと、現代に於いては良き設備、更には、お客様に嘘を言わない真のホスピタリティー(お客様至上主義)があれば、それなりのものとなるハズだ。
有機農法、ビオディナミについては// どう思いますか?
 農薬や化学肥料、除草剤が、畑の微生物を殺してしまうために、農薬等を使わない有機農法(更にはビオディナミ)がブルゴーニュを中心に世界各地に広がっているね。
 もちろん、使用する化学肥料や除草剤を極力減らすと言った努力には賛同したい。しかしながら、その有機農法でも、硫黄系の農薬(ボルドー液)は使用するし、そもそも、高温多湿でカビ系の病気が発生しやすい日本では、病害を防止するための薬剤散布を止めるのは非現実的なんだよ。そんな状況だから、ビオディナミを唱えて果実の皮由来の「天然酵母」しか使わない、と標榜する醸造家に限って市販の「純粋培養酵母」を必ずや所持している、という説まであるんだ。カビ系の病害を防止する薬剤を散布すると天然酵母は死んでしまうからね。
 確かに世界にはビオディナミを真面目に実践している造り手は存在する。但し、その手間は相当なもので、生半可な覚悟ではできないんだ。残念ながら、日本で自然派を表明している造り手には、資金をかけられなくて貧弱な設備だから「おしん」を装って同情を買う類いが本当に多い。畑の土を口に含んでワインの味を予想したり、ぶどうの木をつかんで揺すって、「おいお前にはどんな養分が足りないんだ」と叫ぶ。マンガだね。こんなことで世のワインファンを胡麻化せると思っているのかね。