4.「AWARDのはなし」

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世界中にワイナリーが60万軒あるとして、1軒が平均45種類のワインを毎年リリースするとしたら、理論的に言って、今現在味わうことの出来るワインは直近の数年分プラス古酒でゆうに23000万種類はあることでしょう。そんなワインに順番を付ける行為がどれ程愚かかすぐ分りますね。誰が評価するのか。何の為に評価するのか。オリンピックのように数値比較出来る訳じゃないし、球技のように直接対決する訳でもありません。詰まらないことです。

 と考えて、少しでも誇りある人はまず出品しないことでしょう。ベルギーのブリュッセルで行われている「モンデ・セレクション」を見ればよく分ります。幼稚園児が花マル欲しさに右往左往しているようで醜くさえあります。そりゃあ、やりたい人はやればよろしい。でも美味しい、美味しくないは結局自分自身で判断すべきことでしょう。人や物の好き嫌いだってそうです。そんな人生最大の楽しみのひとつである「評価をする」という行為を他人任せにするのは非常に勿体無いことです。

 我が国で一番騒々しくワインのコンクールを行っているのがY県というところにも問題があります。だってワイナリーが90軒程あって、きちんとワイン用ぶどうを栽培してワインを作っているところが23軒しかないのです。コンクールをやる前に浄化運動でもやったらどうでしょう。まぁこの話を進めて行くと、瀬戸内の海塩も日本中の養蜂園も大変でしょうが。

 とにかく、世界の名にし負うワイン産地では順番付けのコンクールなんて成立しません。ロンドンやブリュッセルは金儲けのショーです。それにしてもワインはインテリの飲み物かと思いきや、コンクールに群がる人々がAWARDをアワードと発音しています。私も英語は中級程度ですが、英語は決してローマ字読みしない言語なのは知っているつもりです。アウォードと言いましょう。ついでにアジアンじゃなくてエイジアン、デジャブーは止めてデジャヴュと行きましょう。