1.ワイン地帯を作る

20153

 昭和22年生まれで現在67才。かつては60才を過ぎれば死ぬ準備と思っていたものが、実際にはそうならず至って健康で元気。それならばやってみようと、現在マッサンの地余市町で「日本一のワインの里」づくりを進めています。

 十数年前までの北海道は亜寒帯の地らしく、3年に一度は「冷害」に見舞われました。それがどうでしょう。このところ完全に温帯化して、ワイン用ぶどうの栽培もかつてのドイツ系品種一辺倒から、フランス・ブルゴーニュやアルザスの品種群へと移行しつつあります。

 ところが経済面では、北海道の地はバブル崩壊以降の長期低迷期に入ったまま。人口減少・雇用激減・後継者不足と、何処も同じ地方農村を襲う過疎の暗雲が、この余市をも覆っています。

 「北海道の果樹園」を自認して来た余市・仁木の産業構造を変えるべく、ワイン用ぶどう作りの農業をベースにして、そのぶどうからワインを作り、更にこの地にワインファンを迎え入れて観光化する、「6次化された町」とする計画を着々と推進しています。

  一昨年の2013年秋に私の人生4度目のワイナリーを、ニッカの後背地3kmのところにオープンしました。ワイナリーという言葉に人々は何を期待するでしょう。ぶどうの仕込み、発酵、ビン詰め等の設備が整った醸造所。試飲する場所や売店も必要でしょう。しかし、現代のワイナリーの定義では一番欠かせないのは、それらを取り囲む広大なワイン用ぶどうの畑と、良く整備された庭園です。2000年以上前のユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の言葉ではありませんが、「来た、見た、飲んだ、買った」という訳です。

 私のワイン作り、そしてワイナリー作りでは、ですから見えるぶどう畑作りと大きな敷地の美化をとても重要視します。この余市の OcciGabi Winery はそれを実現したものです。

 そして同様の定義に基づくワイナリーをこの周辺に多数出現させること。そのことを使命として現在鋭意活動中です。現に、この春第2の同規模ワイナリーが着工します。第3と第4は来年でしょうか。もう土地は取得したと聞きます。私が知る限り、畑・庭・醸造所(そして出来たらレストランも)とセットで複数並んでいる地帯は国内では新潟の“Cave d’Occi”以外は、ここだけでしょう。更にこの5年間で510軒、15年程で100軒と展望出来る所は、この余市川ヴァレー(余市町と仁木町)以外に存在しません。ワインぶどう適地がそれ程大量に休耕地としてあるからです。

 近々、栽培・醸造・分析・マーケティングの専門家を養成すべく、専門の教師を海外より招き入れてアカデミーを開校出来ればと考えていますが、真実、自分の生業としてワイナリー経営を考える方々の来訪を歓迎します。

 先ずは出掛けて、見ること。その後に判断してください。