116.EPAについて

2017/08/23

  EUと我が国の経済連携協定、分かり易く言えば、貿易協定のことです。かのトランプ氏がストップをかけたままのTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は日本と南北アメリカ諸国、オーストラリア、東南アジア諸国等々の間の貿易協定でしたが、今回のEPAは相手がEU(ヨーロッパ連合)。日本車がEUに入って行くときにかけられているEU側輸入関税を現行10%から0%にしよう、逆にEUから日本に入って来る農産加工品にかかっている日本側輸入関税も撤廃しよう、というような内容です。現行チーズは30%、ワインは15%程だそうです。
  先頃(7月初旬)全国紙の記者が取材に来ました。ワインの本場ヨーロッパ発のワインが軒並み安く入って来ると国内のワイン業界は困るのではないか。(現在115の価格が100に下がるのですから100割る115で約13%値下がりすることなります。)国内のメーカーのワインも値下げに動くのか、という質問です。
  私の分析はこうです。日本のワイン市場は、かなり特殊で、完全に二極化した価格帯が存在しています。一本250円以上800円前後までの低廉ワインと、1200円以上の中級ワイン。余り味にこだわらず沢山飲みたい人は前者を、ちょっとこだわったり、贈り物にしたい人は後者を選びます。ところが、ヨーロッパからの輸入ワインは国内メーカーのワインとは異なり、低廉、中級、上級、特級、超特級と5つに分類すべきです。上級は5,000円以上、特級は10,000円以上、超特級は20,000以上と仮に設定したとしても、この価格ゾーンに国内産の対抗馬は殆ど存在しません。何故でしょう。答えは簡単で、高付加価値型のワイン作りをしようという人が殆ど居ないからです。何故高いワインを作らないのか、いや作れないのか。現在までの殆どの国産ワインが食べるぶどうか、外国(特に南米)から輸入した液体だったからです。運賃・手数料込みで一本分百数十円で手に入れたものをビンに詰めて、胡麻化して売れるのはせいぜい2~3,000円まで。それ以上の価格で売ったら天罰が下りますし、良心も痛みましょう。
  EPAと同時並行して、日本国内のワイン法が大転換します。外国産のものをビン詰めして、知らん振りして「国産ワイン」と名乗って売ることが禁じられるのです。(2018年10月より)。どうですか。輸入関税撤廃以前の問題があることにお気付きですね。迎え撃つ方の武器が実は空砲なのです。
  ついでに面白い話をもう一つ。現在スーパーやコンビニで250~500円で売られているスペイン・ワイン。これは確実に南米アルゼンチンやチリから旧宗主国スペインに運ばれてビン詰めされた、「南米産・スペイン内ビン詰め」ワインなのです。「アルゼンチン・チリ産ワイン」はそのまま正真正銘アルゼンチンやチリで生産・ビン詰めされています。日本の円に比べ、アルゼンチンやチリの通貨ペセタが殆どゼロに近い価値だからこうなるのです。
  最後に、国内で上級・特級ゾーンのワイン作りは可能なのか、という問題です。答えはyes。良いぶどうを作ればよいのです。そして良い設備で醸造・熟成し、良きお客様を自ずから組織すればよいのです。決して無農薬とか、天然酵母とかマジック・ショーの目呟ましをしないでです。