129.「新ワイン法」考察Ⅲ

2018/02/13

  先日お役所の人と話をしていた時のこと。私が次のように質問しました。「今回の法改正はとても大きな改正なのに、『表記法の一部改正』とほんの少しの変更のように表現したり、対象のワイン・メーカーには物凄い量の文書を送って指導しているのに、中間の卸し業者には周知させる説明会を1回開いているだけでのようです。ですから肝心の末端小売酒店の殆どがほんの軽い改正だと誤解しています。更には、私共の手元に届けられる多くの文書の中に『消費者の商品選択に資する観点から』と何度も書かれているのに、一番重要なその消費者への周知・広報活動が、正確には殆どなされていないのはどうしてでしょう。」と。
  彼の答え方は慎重ながら、とても説得力のあるものでした。曰く、「完全改正施行は今年の10月末日からです。国は3年間の猶予・移行準備期間を設けて物流の上流のほうから直しているのです。もし(末端の)小売屋さん、消費者に前もって詳しく伝えると、その日が施行日の如くとなり、(市井で)混乱が起きてしまいます。」ナルホド!我が国の国民性を忖度してのことだったのか、と納得した次第です。
  千歳空港で北海道産ワインとチーズを沢山並べて売っている店での話。「最近○○ワインという地名ワインのアイテム数が随分減りましたねぇ」との私の問いに、相手の店の人が、「ええ、注文しても何やら品切れ中とか言ってますので・・・」と答えます。まさか「実は今までウソの表示でしたから」とは言わないのですね、メーカーでは。ウソの「国産ワイン」と表示されたワインが店先に並んでいて、消費者がそれを発見、そのシーン(現場情景)を無くすための猶予期間なのです。メーカー側は出来るだけ上手に店頭からウソ国産ワインを回収・撤去しなさい、10月末までに、と。
  それにしても今回のワイン法改正は「消費者の商品選択に資する観点から」という大義名分の下に行われているのですから、こんな難解な表現ではなく、もっと分かり易く「メーカーが消費者を胡麻化さないように」とハッキリ言えばよいのに、と私は思います。それ程「国産ワイン」の現況は到底信じられない程ヒドいものなのですから。