133.私の札幌大通公園改造論

2018/03/25

  日本ハム・ファイターズのボールパーク誘致で、札幌市も渋々と手を挙げました。他意無くも、市長さんは非常に利口な人だなと思いました。一定数の推進論者は居る、そして反対の人々も無視出来ないほど存在する。両論併記での提案ですから、日本ハム社にとっては熱意薄しと映ることでしょう。どちらにしても結論はあと一週間で出ることですが、余市町民の私としましても、直接運動には参加できないものの、矢張り北広島になった方がいいという考えです。それよりも今回、札幌市民の中に周辺の緑を大切に思う人々の多いことを知り得たことは、私にとって大きな収穫でした。何故といって、私の胸の中に以前から去来する次の一事があるからです。
  この秋、直通の高速道路が開通しますと、我が町余市と札幌(西インターや北インターまで)は約30分の近か間となりますが、そうすると現在でも結構出掛ける街・札幌が意識の上でもっと身近なものとなります。別に誇る訳ではありませんが、私と妻は大の旅行好きで、世界各地の都市を訪ね歩いておりますが、その二人で議論します。果たしてこの世の50万・100万人以上の都市で一番美しい都市は何処だろうか、と。きっとそれは札幌だろうというのが二人の結論です。ススキノに飲みに行ったり、中心部でのショッピングが目的ではなく、ただ歩いているだけで(特に雪のない季節は)快適なのがこの街です。
  理由は幾つもあります。第一に都市計画がとてもしっかりしていること。これは近世になってから、真っ白な紙に絵を描くように、ゼロから取り組めたこともありましょうが、何よりも北の新大地の首都とすべく、理想を持ってこの街造りを考え、推進した人々が居たからでしょう。道路は広く整然としていて、周囲に大きな森や田園風景、そして山や海まであります。何となく自然にそうなったのではないと私は思います。必ずや人間の意志があってのことでしょう。第二は美術館、コンサートホール等々の文化施設がとても充実していて、地方都市とは思えない程レベルの高いオーケストラまで抱えている点です。そして街の中央に100メートル×1000メートル程の大きな緑地帯があるのも、この街の魅力です。
  さて、しかしこの緑地帯(大通公園)はこのままでよいのでしょうか。私の考えでは、今こそinnovationの時だと思います。ロンドンやニューヨーク、バンクーバーやコペンハーゲンにある都市型ガーデンの手法を取り入れるべきです。緑濃い、多少の起伏と幾つかの小さな水面も持った、完成度の高い本当の「札幌中央公園(セントラルパーク)」が出来ると、この都市は更に数段グレードアップされたものとなるのですから。
  失礼ながら、現在の貧相な四角い地面が十枚程並んだままの形は、雪まつり等々のイベント広場としての活用を考えているからでしょう。想像してもみて下さい。道庁斜め裏の北大植物園は私のように樹木の好きな人々の心を強く惹きつけます。赤レンガ庁舎前の空間も他の都市と較べて特級のものです。これらに加えて、上述外国の都市群にあるような中央公園(ハイドパーク、セントラルパーク、キューケンホーフ・ガーデンetc.)が出現すると、札幌市中央部の景観は一変します。しかも、現在既に四周は大樹に囲まれていますから、割合簡単にとても素晴らしいものが出来そうです。工事も3区画ずつ区切って4年程で完成という方式では如何でしょうか。
  勿論、雪まつりや○○フェストのファン層からは反対意見も出ることでしょう。しかし、それは別の会場での開催が可能です。(例えば雪まつりは豊平川の河川敷とか。真冬は水位も上がりませんし、雪の後処理もとても楽です。)世界的ガーデン・デザイナー達をコンペで競わせ、その完成予想図を市民に提示して投票で決める。要は政治生命をこの中央公園改造に賭ける市長さんや市幹部が出現すれば可能なことです。新幹線の札幌延伸時に合わせての記念事業とするのも妙案です。ついでながら、現北大の農場部分も北大農学部(もしくは工学部・都市工学科)に西洋園芸マスターコースを新設して、その実習場兼UNI-PARKとすれば、ここにも札幌の新名所的緑地が誕生します。
  ローマと違って歴史的な建造物が余り無いからこそ、札幌的緑化推進の方向性を模索すべきだと思います。開拓150年の時です。今後の100年200年を見据えた‘札幌市innovation‘を考えてみませんか。とにかく、かかる費用がとても少なくて済むのが、これらのプランの最大の長所です。
  私がワイナリー経営という世にも恵まれた職業の人間ゆえ、日々周囲の緑化と景観の美化ばかり考える余り、余計なことを提案しているのでしょうか。