91 .又々、ジョージアの人々来たる

2016/12/29

  Georgia on my mindというジャズの名曲がありましたが、その合衆国東岸にある英国王名に由来する州ではなく、ユーラシア大陸の真ん中、黒海とカスピ海の間に横たわる国のことです。旧ソヴィエト連邦の一員だったことを恥辱として、自ら国名の呼び方をロシア風のグルジアからジョージアに変えてしまった国です。小麦や蜂蜜以外にも特産物は色々ありましょうが、中でも古来からのワイン作りは国を支え得る産業とのことです。そしてこの国は、人類ワイン作り発祥の地として欧米ではつとに有名です。今から8000年のことだそうです。
  さて、ジョージアの人々は昨年も年末に(ということはワインの仕込みを終えて)我がOcciGabi Wineryを来訪しましたが、今年も又々やって参りました。JICAの人が私共の処を選んで、この「ワイン作りの始祖」達9名をお連れしたのは何故でしょう。ジョージアのワインの作りと流通(マーケティング)の人々の目的はただひとつ。今や世界有数のワイン理解国たる日本へのジョージアワインの売り込みです。そのためには日本のワイン作り・流通の現状を見ておく必要があるとばかりに、北海道では私共のワイナリーとお隣りの今や最盛期のニセコ・リゾートを見学コースに入れたとか。人類最古のワイン地帯の人々だからこそ、ぶどう畑に囲まれた、小さいながらも本物性の高いワイナリーを見ておくべし、と誰かが推奨したのでしょう。前回の来訪メンバーとは一人だけが同じでしたが、今回は私の方から彼らに次のことを積極的に提案しました。
① 私の認識では、今から20年前ゴルバチョフ書記長とシュワルナゼ外相によるロシア共産政権の解体が、現在の世界の平和や経済の繁栄に少なからず貢献した。
② その後シュワルナゼ外相は帰郷し、故国ジョージアの初代大統領となって祖国経済の立て直しを計り、その中にワイン産業の近代化があった。
③ 彼の播いた種子が結実して高級化されたワインが今皆さんの手にあり、それを一等のワイン消費国日本にプロモートするには色々な方策が必要である。
④ 先ず、ジョージアがかの白髪の好漢シュワルナゼ氏の故郷であることを日本では強調すべきである。ゴルバチョフ→エリツィン→プーチンと中央モスクワは変遷を続けている中で、ジョージアのシュワルナゼ氏への日本国民の信頼はいまだ厚い。
⑤ 東京にジョージア大使館があるのなら、その隣りかもしくは、いっそのこと大使館の一角をワインプロモーション・センターにして「人類ワイン作り発祥の地」をアピールした方が良い。
⑥ 成田発トビリシ行きのチャーター機を用意し、「ワイン作り発祥の地巡りの旅」を企画するのはどうか。この企画は日本のワインファンに大いに受けると思う。
⑦ かつて(1970~90年代)私自身もモスクワ経由ヨーロッパ行きのイリュ―シン機の中で、数多く味わった「ジョージアの赤」の美味しさは知っている。他の何処にもない「新しく素晴らしい赤」として、日本のワインファンには喜ばれるハズである。等々私の唱えるジョージア賛歌に皆さん目を丸くして聞き入って下さいました。ただ単にワインの世界に生きる人間の極く自然な感情の表出なのですが…。
  他人の国のワイン・プロモーションに身をやつして、自分の会社OcciGabi Wineryのことはどうしたんだ、と又々外野席から声が掛かりそう。でも創業8000年と3年余とではねえ、というのが正直な気持ち。8000年後は遥か彼方ですが、10年後15年後はすぐそこなのですから、着実に一年一年を積み重ねるばかりです。見ていて下さい、という気持ちです。

画像に含まれている可能性があるもの:飲み物