97.文枝師匠とまみさん

2017/01/30

   7匹の猫に囲まれて生活するのも心地良きことながら、人生、他の人とはちょっぴり変わった経験を重ねながら生きるのは楽しいものです。先日の「新婚さん、いらっしゃい」出演がそのひとつで、とても楽しい思いをしました。何はと言って、もう放映後ですから話せるのですが、まさかスタジオでワイン談義になろうとは考えてもいませんでした。
   それはワイン作りが自分達の職業であっても文枝師匠に「ご職業は?」と尋かれたら、「ワイン作ってます」でサラッと通り抜けるつもりだったのです。他人様の番組でスポンサーでもないのに自分達で会社の宣伝を無料でするみたいで、極く用心してインタビューを受けたのです。が、師匠とまみさんが俄然乗って来たのでビックリ。そんなの直前の下打合せには全然なかったものですから。
   でも本心はとても嬉しかった。まさか落語界の重鎮と可愛娘ちゃんキャラクターの人が、そんなに凄いワイン通だとは思いもしませんでした。玄人顔負けの鋭い質問が矢の如く降り注ぎ、私にとってはとても楽しい談義となりました。自分の生きている限り、この人達には毎年ワインをプレゼントしようと考え、その通りに伝えました。私共の、毎年ワインが一本ずつプレゼントされる制度のことも言ったところ、文枝師匠が「じゃワシも一口そのクラブに入ろうかな。」まみさんの切り返しが絶妙で「今、落さんはこれからずっと毎年ワインをプレゼントして呉れるって言ったもの、私入らないわ。」会場内爆笑。
   それにしても偶然とは面白いもので、妻の雅美が「婚前は外資系の石油会社に永く勤めていました。」というと文枝師匠が両手を持ち上げ大きな輪を作って(帆立て貝を描いて)、「こんなマークの会社?」丁々発止というべきか、妻が答えて「まみさんが以前コマーシャルに出ていらした会社です。」 まみさん「あら、モービル?」 とてもリズム感溢れるやり取りでした。
   少し時間を置いて考えついたことがひとつ。絶妙の司会者たる師匠とまみさんは、きっと出演者のことを前もって克明に調べているのではないでしょうか。もし「僕がワイナリーを作った理由(ダイヤモンド社刊)」という私の本を読んでいたのなら、彼等の質問の鋭さも肯けます。それとももしそうじゃないとしたら、かえって恐ろしい感じです。誇張ではなしに、あれ程ワイン(特にワイン作り)に詳しい人に、私は今迄日本で出会ったことがないからです。
   と、ここまで書いて私はまだ本放映を観ていません。どこをカットして、どこを残して繋いだのか丸切り分りませんので、これからゆっくり楽しんで観ましょう。