150.ワイン作りという人生
2019/01/23
◎4月初旬、雪が融けて畑の表面が完全に乾くとぶどう畑に足を踏み入れます。5月中旬、下旬の芽吹きまでの間、針金を張り直したり、ぶどうの枝を針金に固定する春仕事。そしてちょっとひと休み。
◎6月中、下旬が開花の時。緑色の新しいツル枝はもう50~80㎝の長さに伸びています。開花前後に若いツル枝を直立させるべく、ダブルの針金で両側から挟み込みます。これは1列100m近い垣根栽培ゆえ、5~7名での共同作業。7月、8月、9月とツル枝は更に伸びますので、7月下旬、8月の間に天頂部を2度程切り戻します。いはゆる夏剪定です。同時に下草刈りも都合3~4度程行います。
◎9月下旬から11月上旬にかけて約1ヵ月半の間に収穫。早生、中手、晩生と毎週2品種、全部で12の品種を順に手で収穫します。しかも収穫した果実は数時間以内に丁寧に選果して仕込みますので、この時期は外と内で大忙し。
◎実を取った後もぶどうの木は葉を着けたまま次の年のために栄養を貯える仕事をしています。この時期人間は主にセラー(醸造所)の中で仕事をします。
◎11月中旬~12月中旬の短い時間に、葉の落ちた品種順に冬の剪定作業を行います。
◎12月中旬~3月下旬はセラーでゆっくりワイン作りに勤しみます。
以上、一応晴耕雨読的に一年がゆっくり廻ります。春から秋口の手の空いた時には大きな庭の世話も結構楽しく行いますから、割合ストレスフリーな生活とも言えます。
現在の北海道余市町でのワイン作り人生を文章にすると以上のようになりましょうか。ワイン用ぶどうの栽培とワイン醸造を3名の社員と共に、そして他にもお手伝い下さる方々の手も借りながら行っています。同じ町内の果樹栽培農家の人々とは、積雪期の12~3月の時間の過ごし方が丸切り違いますが、それでもワインを試飲・購入するお客様とは毎日接しますし、地下の醸造所を詳しくご案内もします。(年間1500名近くご案内しています)。冬期間はストーブの薪の係もしていますので、兎に角、時間が流れるように過ぎるのが、この仕事の一大特徴です。どうですか皆さん。お金が儲かるからとか、雑誌が来て無責任に騒ぎ立てるからということとは関係なく、とても面白い人生の選択だとは思いませんか。