168.期待のヴィンテージ2019
2019/09/18
何という偶然でしょう。「新ワイン法」元年のこの年に、6年前・5年前に植えた我がぶどう達が素晴らしい実を付けています。収穫量も果実の成育も北海道ではきっと初めての様相で、今から来年・再来年の初飲み時の喜びを想像しています。
我が畑6haの標準(スタンダード)品種はシャルドネで、この品種の房付きや収穫量、糖度、収穫日を軸にして、シャルドネより数値が多いか少ないか、何日早いか晩いかと判断します。その主軸品種の房付きが3房付きとなり、成長もとても順調で7月下旬に房形成がほぼ完了といった按配なのです。
かつて新潟で栽培していた時も、3房付きは数年に一度程でしたから、北海道では決してお目にかかれないものと思っていました。びっくりです。昨年が6・7月の長雨ゆえ平年の5~7割の作柄でしたから、それと引き換えてのこの気候を余市中のワインブドウ農家が喜んでいることでしょう。私も心の底から喜んでいるところです。そして10月中旬までは大きな台風は来ないでという心境です。
先日東京からいらした美貌のソムリエとちょっぴり議論しました。相手が「やっぱり醸造技術次第で出来るワインは全く変わりますよね。私はイタリアに居る3人の名人を知っています。彼らが作るワインは凄い。」私がぼそりと、しかも明解に、「それは間違いだと思う。いや勘違いかな。ワインの味は殆ど全て原料であるぶどうで決まる。貴女がそう言うのでしたら、それは彼らが作るぶどうが素晴らしいからでしょう。彼らは自身、自分の醸造技術を誇示していますか。違うでしょう。自分のワインを自慢しているのでしょう。それなら私も理解出来ます。」多少納得したような彼女が加えて、「そう言えば、ちょっと気になることもあるのです。彼らの作るワインは皆とても似た味なのです。」この意見の意味の追求はやめました。唯、単に彼らが意志を持って、毎度似た味に仕上げようとしているのか。それとも、ぶどうが毎年余り変化なく成熟し易い地帯なのか。
私自身はかつてのドイツの教育通り、意識的に毎年違った味のワイン作りを目指しています。当年のぶどうの良い特徴はより強く前面に出す。逆にネガティブな特徴はなるべく隠そうとする。勿論、外国由来(輸来?)のワイン果汁でそれを行わないのですから、この私の手法はお客様にとって、とても分かり易いのです。
一目瞭然というか、要するにalone again,naturallyとでも申しましょうか。