170.民は知らず、ソムリエ諸氏も更に知らず。
2019/10/20
先日、私と同じ町で私とは異なるワイン作りを指向しながらも、時々直かに意見を交換している「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我君と電話で話した時のこと。
私が「国税庁から国内すべてのワイン製造業者に『ワイン新法』の指針が示されたのは、確か2015年4月だったからもう4年以上昔のことだね。あの頃は誰もが、どうせザル法になるに決まっていると思っていたけれど、実際にはこの年初から完全施行されてみると、とても厳しい法律となったね。でも君、どうしてこんなに厳正な法律が出来たと思う?」
彼が答えて「それは落さんが国税庁長官に直かに手紙を書いたり、常日頃ヨーロッパ式のワインの法律の必要性を強く主張していたからでしょう」と、軽く揶揄します。本当はそう思ってもいないくせにです。
それで私が、「いや、そんな与太話ではなく、僕が観察するに今回のワイン新法の施行は昨年末12月30日発効のTPP(環太平洋貿易協定)や今年2月1日発効のEPA(日欧貿易協定)と軌を一にしているよ。お互い非関税貿易圏を形成しようという協定だから日本独特の(というより訳の分からない)ワインの国内法は葬り去られただけのことさ。」
曽我君が「へえ~、そんな裏があったんですか」とトボけて、この会話は終わりました。
私の観測なり論理の信憑性は、計らずも同時にウイスキー業界が大激変したり、何よりも未だに国内・国民対策とばかりに国税庁が事の真相をきちんと公表していない事でも逆に裏付けられることとなりました。