81.ウィンブルドンとガーデン巡り

2016/07/14

  どうしてイギリス発祥のスポーツは芝生の上で行うものが多いのでしょう。答え①イギリス人は芝生が大好きだから。答え②芝生の上だと炭酸同化作用で発生する大量の酸素の中でプレー出来るから。答え③元来貴族の趣味から発しているから。答え④きっとイギリスは何処も芝生だらけだから。・・・と興味は尽きません。思いつくままに私が勝手に並べただけですから、正解は保証出来ませんが…。
  それにしても多いですね。ゴルフ、サッカー、ラグビー、クリケット(野球の前身)、ポロ、テニス・・・。すべて芝生の上で球体を転がすものばかり。よく考えれば、ゴルフ場の代名詞になってしまったカントリークラブだって、その名からして上述のスポーツすべてを丸抱えの施設がルーツではないのでしょうか。
  つまらない例えですが、皆さんはウィンブルドンとガーデン巡りがビールと枝豆の関係にあることをご存知ですか。どちらがビールでどちらがつまみの枝豆かは別として、ウィンブルドン・テニスとイングランド南部、例えばコッツウォルズやロンドン南東部諸州のバラの時季が一緒で、両者を組み合わせてわざわざイギリスを訪ねる人々が多いのです。私自身最初は前述の庭作りの師匠たる親友に連れられて、オクスフォード近郊のコッツウォルズ丘陵地帯の星の数程あるガーデンを訪れ、そのうち病み付きになって他の人々を連れてこの地を巡り歩くうちにこのことに気付いたのです。
  B&B(ベッド アンド ブレックファスト)。単に朝食付きの宿と思うことなかれ。きっと100年200年、いえもっと経った田舎家の構造をいぢらずに小ぎれいに手入れした宿屋。ドアもきちんと閉まらなかったり、床は平気で少し傾いたりしています。ベッドの装寝具や室内の小物は亭主の品位を表すものとばかりに手は行き届いていますし、家を取り囲む小庭も主人の心意気の見せどころ。何よりも朝食は亭主夫妻が目の前で手作りといったところが多いようです。
  同じ宿で、そして訪ねる庭園で我が同邦人と出会うことは多く、会話を重ねると、意外にテニスとガーデニングの掛け持ち組が結構いるではありませんか。しかも老若共、圧倒的に女性が多いのです。思うに、きっとテニススクールのお姉様・オバ様達のグループ旅行なのでしょう。テニス見物がメインで庭巡りは付録の構図。というのも広大なうねる丘陵地帯の随所にある庭を歩き廻って、自然を満喫するのがメインで、そのついでにウィンブルドンの人工的な客席という逆の構図はどうしても在り得ないからです。
  イギリスは他の大陸側欧州諸国に較べ、季節がずれていることもあってバラの時季に観光客を集め易いのでしょう。かつて新潟に居ました時は、5月下旬~6月下旬がバラの旬で、庭仕事も一段落して英国庭巡りに出掛けましたが、今やイギリスと丁度季節の重なり、7月8月迄庭のバラの世話で追われる北海道余市にあっては、ウィンブルドンの時季にイギリスを訪れるのは不可能となりました。自分の庭が花盛りで、長期に外出するヒマが無いからです。もっとも、EU離脱混乱期の英国視察と秋の庭巡りという組み合わせも魅力的な企画でしょうが・・・。