102.ワインぶどう、品種の変遷

2017/03/05

This land is my land,
this land is your land.
From California
to the New York island.
この歌を合衆国の人々が皆で歌う日は又来るのでしょうか。それは兎も角、”from Portugal to the Republic of Georgia”とでもいうべき「ワイン旧大陸ヨーロッパ」で勉強した私は、次のように教えられました。ワイン専用ぶどうの種類は各国各地帯に特有の品種があるものの、頭脳にとどめて置くべきは200種類位である、と。
  舌から入った人より頭脳からワインの世界に入った人の方が多い国ニッポン、認定されたソムリエさんの数が世界一の国ニッポンですから、私より沢山ぶどうの名前を知っている人も多いと思われます。ブルゴーニュ地方ならピノ・ノワール、ピノ・シャルドネ、ピノ・ブラン。ボルドー地方ならカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー、プチ・ヴェルドー、マルベック、セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン。アルザス地方ならピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール、リースリング。シャンパーニュ地方なら、ロアール地方なら、ラーングドック地方ならetc、etc。
  国を変えてポルトガル、スペイン、イタリア、ドイツ、オーストリアと延々と続けるより、ちょっと面白い、もしかして当たらないかも知れない予想をしてみましょう。ワインの地方名とぶどう品種名は現在上記の如く対応していますが、それが果たして30年後も同様かと。
  例えばブルゴーニュ地方で以前(4~50年前)結構優勢だったピノ・ブランは現在余り見掛けなくなりました。イタリアのトスカーナ地方はサン・ジョヴェーゼの牙城かと思いきや、ソーヴィニョン・ネッロ(カベルネ・ソーヴィニョン)がどんどん攻めて来ています。私のよく行き来する南独のバーデン地方だって、かつてのシュペート・ブルグンダー(ピノ・ノワール)やヴァイス・ブルグンダー(ピノ・ブラン)ばかりではありませんし、シュツットガルト市を中心とするヴュルテンベルク地方もかつてのレンベルガー、ミュラー・トゥルガウ、ケルナーが大きな顔はして居られません。すべて気温が上がったことが原因で、他の品種への移行が進んでいます。
  ここでグンと話は小さくなりますが、我が余市も40年前に導入したケルナー、バッカス、ツヴァイゲルトレーベの「御三家」から脱却すべき時に来ています。ピノ族はすべてOKですし、ゲヴュルツトラミネールも成熟します。本筋のカベルネ族はまだ無理でも、南独レンベルガーとカベルネ・ソーヴィニョンの交配品種で、味わいは限りなくカベルネ・ソーヴィニョンに近く、熟期が9月下旬~10月中旬という、いわゆるジャーマン・カベルネ族も栽培可能です。
  心躍る想いでこれら新品種に取り組んでいます。これらこそ近い将来北海道を代表する高級ワインになる、と。