159.ウィスキーよ、お前もかII

2019/04/15

  ワインはウィスキーとは異なり樽の中で7年10何年21年と寝かせる酒ではありません。現代のワイン作りでは真新しい樽にせいぜい一年でしょうか。そしてビンに詰め、ビン内熟成が何年も何10年も続くのです。勿論、水で割って飲むということはしません。せっかくのビン内熟成で得た味がすべて御破算となるからです。
  さて、そこで人一倍疑い深い私の想いは深く沈潜し、色々なことを考えます。もし、いわゆるジャパニーズ・ウィスキーが海の向こうのウィスキー達とは異なる概念で作られているのならば、樽寝かせの年数も果たして表示通りなのだろうかと。いいですか、ワインもウィスキーも所轄が同じお役所の酒同志ゆえ、もしかしたらワインと同じようなミステイクがウィスキー作りでもされていたのではないか。例えば僅か数年しか寝かせていないウィスキーに12年物の原液を数滴加えれば、それは12年物と名乗ってよろしい、とか。勿論、例えばです。そんなウィスキー熟成蔵の最奥部のことは、余人には知りようもありませんから。
  何度も申し上げるように、ワインやウィスキーもEPA(対ヨーロッパ連合経済連携協定)やTPP(環太平洋諸国連携協定)ゆえに、日本も相手国のワイン作りやウィスキー作りの厳しい製法・表記上の規制を受け容れざるを得なくなって来たのです。何と言っても、まだ今のところスコッチ・ウィスキーの生産国イギリスはEUの構成員なのですから。もう今迄の国内ごまかし法ではやって行けないのです。
  現在、ジャパニーズ・ウィスキーの上物はすべて荷止め(出荷停止)をしています。何でも原酒が足りなくなったから、とか。EPA発効と時を同じくしてのことですから、とても変な話です。今迄ずっと平坦に同様の大きな量を出荷していたし、かつて50年前などは売れれば即大量に出していたのに、急に足りなくなるなんてどうしてでしょう。本当の12年物はあと10年待って呉れでしょうか。そして21年物もあと20年近く、と。
  4月4日夜11時のWBS(日経経済ニュース)で流れたニュースが私の疑問を解いて呉れました。我が国のウィスキー大手が、世界の5大ウィスキーをすべてブレンドして新しいウィスキーを世に出すのだそうです。きっとウィスキーは、それもありかも知れません。ワインは永久にそのようなことは起こらないと思います。(もっともこの50年程我が国では、ワインでそれに近いことをやってはいましたが。)自滅行為とならなければいいのですが。まことにこの世は不思議なことだらけです。
  EPA、TPPのことをよく考えると、ワイン・ウィスキーに続いて次なるはジャム、ジュース、ハチミツ、海塩etc.でしょうか。背筋の寒くなる人は多いと思います。