63.「ローマ人の物語」とワインの里作り

2016/02/06

 塩野七生さんが好きで、特に「ローマ人の物語」IV、V、VIのユリウス・カエサルやアウグスツウスの活躍するあたりは大好きです。現在何回目かを読み進めていて、カエサルの或る言葉に感慨を新たにしています。曰く、「人間はすべてを見ようとせず、自分の見たいものだけしか見ない。」言葉を替えて云うならば、理想やヴィジョンを持たすに行動する人々の何と多いことか、となります。
 勿論古代ローマ帝国を作り上げ経営することと、我が余市の将来を展望しつつ日々行動することは、規模の異なることゆえ比較すること自体意味なし、と云われそうです。しかも自分は一切政治に関わっていないのですから。しかしカエサルの行動理念を少しでも学べば、こんなことはしないのになあ、と思わされることしきりです。
 「小我を捨て、大義に就く」とまでは云わずとも、せめて「こんなことばかりしていたら、3年後、5年後にはどうなるのだろう」と思いを巡らせば、現在やるべきことが見えて来ます。
 「余市川のほとりにキラッと光るワイナリーを幾つも作る」のは決して易しいことではないと分かっているのですから、矢張りひとつづつ作って行きましょう。面白いもので、新潟より余市に移り住んで3年半。毎年3~5月に、この地でワイナリーを開きたいという人々がよく私を訪ねて来ます。そのような人達に、今迄は資金とか技術のことを中心に説いて来ましたが、それよりもっと必要なのはカエサル的マインドかな、と考えたりもしています。